【釣った海水魚を飼育してみよう】

【釣った海水魚を飼育してみよう】アイテム編:必要な道具について

TSURINEWS
海水魚の飼育を解説(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

身近で釣れる見慣れた魚を自宅の水槽で飼ってみると、釣り人たるもの、非常に心が癒される。さらに魚の行動を見ていると釣りに役立つヒントもかなり見つかる。今回は、海水魚を飼育するために必要なアイテムについて紹介したい。

金魚やメダカ飼育と同じ

幼い頃に金魚すくいで貰ってきた金魚やメダカなどを水槽に入れて飼ってみた人は多いはず。さらには釣り好きはやはり魚が好きなので、大人になってからも魚を飼育している人も居るだろう。

海で釣ってきた見慣れた魚を飼いたい・・・と言うのは、基本的には金魚やメダカ飼育の延長上であり、水質や酸素など気を付けるべき事は海水と淡水の違いこそあれ同じである。

違いは塩分

大きな違いとしては塩分濃度、そして飼育する対象が海水魚である、と言う事だろう。塩分が含まれる水を扱うので、釣り具のリールなどと同じで金属部分はどうしてもサビてしまう事が多くなる。そのため、機械部分は、耐塩仕様のアイテムを選ぶ必要がある。

海水も使えるアイテムを選ぶ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ホームセンターで揃うアイテム

さて、では海水魚を飼育するにはどんなアイテムが必要なのだろう。その辺りを魚の飼育用品全般を扱う、GEX(ジェックス)株式会社に聞いてみてた。担当者によると、ホームセンターなどでも手軽に入手できるアイテムで海水魚は十分長く飼育できるとの事。

飼育に必要なアイテム一覧

そこで、具体的に用意しておきたいアイテムとその役目を伺った。まず、一通りのアイテムを紹介すると
・水槽
・フィルター(ろ過装置)
・照明
・ヒーター
・エアーポンプ
・サンゴ砂
・底に敷く砂や石
・人工海水の素
・比重計
・プロテインスキマー
などが挙げられる。それでは1つずつ、その役目を紹介していこう。

1、水槽

もちろん魚を飼うなら必須なのが水槽だが、初めてや経験の浅い人は、置く場所や飼育する魚などを考慮の上、自分の手に負える大きさに止めておきたい。

水槽は大きくなるとそれだけ重量も増し、水替え一つにしてもかなりの重労働だし、海水も多量に用意しなければならない。また、重量がある分、きっちりと重量を受け止められる平らな安定した場所が必要だ。

ホームセンターの水槽売り場(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

水槽の素材

水槽にはアクリル製やガラス製、プラスチック製などがある。アクリル製は軽量で透明感もあって衝撃にも強くて割れにくいが、かなり高価である。ガラス水槽は傷が付きにくく、比較的安価に売られているが重量が重い点が挙げられる。

基本的に大きな水槽ではアクリル製、自宅などで横幅が60cmくらいまでならガラス水槽と考えれば良いだろう。水族館の大きめの水槽などは、ほぼアクリル水槽である。

水槽とろ過槽がセットの商品(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ちなみにプラスチック水槽は、よくカブトムシなどを飼う時に使用する飼育ケースなどがそうだ。表面に傷が付きやすく水槽にして魚を鑑賞するには少し物足りないかもしれないが非常に安価である。

と言う訳で、自宅で手軽に魚を飼育するなら、手ごろな大きさのガラス水槽がオススメ。

2、フィルター

いわゆる、水質を維持するために水をろ過する装置で、さまざまな形式がある。もっとも身近なのは金魚を飼育する時に水槽内に沈めて泡を発生させる時に泡の浮き上がる流れを利用して水槽内の水を取り込んでフィルターでろ過する小さなろ過装置などだろう。

ここで気を付けたいのが海水魚と言う特殊な魚を飼育する・・・と言う事。海水魚の場合、水槽の水が汚れやすく、やや強力なろ過システムを持っていた方が良い。そのため、まずはモーターで水を積極的に取り込むタイプがオススメ。

上面ろ過槽

家庭用として古くからよく使われているのは、水槽の上面に設置して、片方の吸水口から水を取り入れ、上部のケースの中にあるフィルターを通し、反対側から水槽へ水を出す、いわゆる循環の中で汚れを取っていくシステム。水槽の上部にろ過槽を設置するので「上面ろ過」と呼ばれる。

外付けろ過槽

その他、水槽の縁から外側に引っ掛けるように取り付け、上面ろ過同様に、水をモーターで吸い上げてフィルターの中を通してから水槽へ水を戻すが、こちらは上面ろ過槽に比べるとかなりコンパクトで、最近では「海水用」と銘打たれた商品も多く発売されており家庭のろ過槽としては人気がある。

人気の外付けろ過槽(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

3、照明

これは部屋の中で飼育する前提となるが、部屋の蛍光灯の明かりよりも明るくする事で、しっかりと太陽の下で暮らす魚に光を与えてやる役目を果たす。

照明も種類が多い(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

古くは専用の蛍光灯が使われていたが、最近ではやはりLEDライトが普及し、寿命や消費電力も低いので人気がある。こちらも、ほんの少しだが光の色合いが違っていたり、商品によって設定されている明るさもかわってくる。また、電気スタンド同様、デザインも様々なので、部屋に合わせたお好みのデザインを選ぼう。

4、ヒーター

これは特に低水温に弱い魚を飼育する時に必要だが、釣りの対象魚は比較的沿岸の浅場にいる魚が多く、水温の上下動には強い魚が多いので、必須とは言えない。部屋の中に水槽を置く場合は、自然界とは違いあまりに低水温になる事はないだろう。

ヒーターいろいろ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ヒーターが必要なのは南方系の魚で、珊瑚礁域の熱帯魚などを飼育する場合には必要だ。ヒーターのシステムは、電気で熱くなる部分で水槽の水を温める。センサーが付いていて、温度を設定できるものや、自由に温度設定はできず始めから「27度用」と決まったタイプもある。

釣魚は水温変動にはかなり強い魚が多いと思うが、水温の上下動をできるだけ抑えて、一定の温度をキープする場合には水槽に入れておけば良いだろう。

ちなみにヒーターがあるので、もちろん、高くなりすぎた水槽内の水温を下げるためのクーラーもあるが、こちらはかなり高価である。

5、エアーポンプ

水槽なの酸素欠乏は致命的なので、エアーポンプを入れておくと安心。また、泡が上昇する事で水槽内の海水に流れを生み、水質や温度などを均一にしてくれる。ろ過槽も海水の中へ酸素を供給する役目もあるので、少量の魚を飼う場合や、水槽が小さくろ過槽が大きい(強い)場合は、追加のエアーポンプは不要だろう。

6、人工海水の素

海が近ければ、海水を海から運んでも良いが、真水に溶かす事で人工的な海水ができる、人工海水の素を利用するのが便利。基本的には塩にさまざまな有効成分が入っているので、食用の塩とは違うものである。

人工海水の素(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

水槽の大きさによって使用する塩の量もかわってくるので、水槽の容量を認識して購入しよう。また、人工海水の素が残ってしまっても、そのまま密封して置いておけば後で使えるので心配ない。

7、比重計

人工海水の素とセットで使用するのが、比重計と呼ばれる計測器だ。水に塩分を投入すると、その分水が重くなり、その中に入れたものは浮きやすくなる。海では身体が浮きやすいのと同じ理論だが、その特徴を利用して塩分濃度を計測する事ができる。

種類の多い比重計(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

比重計自体を水槽内に浮かせるタイプや、海水を中に入れる事で指針がその海水の塩分濃度を指してくれるものなどあるが、特に計測に差はないのでどちらでもOKだが、適当な塩分投入は魚に取っては致命傷となるので、しっかりと適度な濃度を測るためにも必須アイテムだ。

8、水槽の底に敷く砂や石

これは見た目にもあった方が良いのだが、魚によっては砂底を生活圏としていたり、岩場を好んだりと魚が好む底質がある。飼育する魚がどんなところに住んでいるのか・・・などを考えて敷こう。

また、底に敷く砂や石と同じで、ミニチュアの土管やその他障害物(ストラクチャー)なども入れておくと、魚の隠れ家になったり、けんかっ早い魚を分けるのにも役立つ。

ミニチュアの土管(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

9、サンゴ砂

その名の通り、死んだサンゴが崩壊して細かくなったもの。サンゴは死んでしまっているとは言え、その中には水質をよくするバクテリアなどが潜んでいて、ろ過の手助けをしてくれる。また、魚にとっては重要なPh値を一定に保ってくれるなど、水質を維持するのに役立つ。

サンゴ砂(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

サンゴ砂は底に敷く砂に混ぜ込んだり、ネットに入れて塊で置いておく、またはろ過槽に入れるなど、いろいろなタイプ、使い方があるが、役割は基本的に同じだ。

10、プロテインスキマー

あまり聞き慣れない名前だが、海水を長く良い状態にキープするのに重要な役目を担っている。淡水ではあまり使用せず、主に海水水槽で使用する。ろ過槽とセットでシステム化されている場合が多い。

簡単に言うと微細な泡を発生させて、その泡によって海水内の汚れを浮かせて回収する・・・と言う働きだ。泡の発生方法は、エアーポンプから出る泡を微細にしたり、水を汲み上げるプロペラに小さな突起をたくさん付ける事で泡を発生させるなど様々だ。

ろ過槽とともに使用する事で、ろ過効果を高める役目を果たすので、長期に渡って水質が安定する。ごく小さな水槽や、水替えが比較的短期間でできる場合は特に必要はない。

また、プロテインスキマー自体はけっこう高価なので、家庭で手軽に・・・と言う訳にはいかないが、ろ過槽とプロテインスキマーがセットになった安価な商品も数少ないながらあるので、気を遣いたい人は揃えれば良いだろう。

プロテインスキマーが付いたろ過槽(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

以上、海水魚飼育に必要なアイテムを挙げてみたが、いかがだろう?「大変だ」と思っただろうか、それとも「これくらいなら十分できる」だろうか。最初は少々手間が掛かるかもしれないが、その分は飼育した魚たちが癒してくれ、恩返しをしてくれるに違いない。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>

TSURINEWS

  • コメント: 0

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気記事

PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。